VOL.35

NPO(特定非営利活動)法人奈良元気もんプロジェクト推進会議理事長
乾 昌弘さん
奈良2010年塾を開塾
平城遷都1300年記念事業を支える文化ボランティアを育てる。

 西暦2010年、奈良は平城遷都1300年を迎える。
 この節目の年に奈良県では記念事業の開催を目指しており、その事業をサポートする文化ボランティアの育成を目的とした『奈良2010年塾』がこの夏開塾する。
 今奈良県で一番ホットな“動き”について仕掛け人である、NPO(特定非営利活動)法人『奈良元気もんプロジェクト推進会議』理事長の乾 昌弘さんにお話をうかがった。


〈聞き手〉編集長 上田さとる

 住民の発想と心意気で県内のイベントを企画サポート
 『奈良2010年塾』は7月末からの開塾に向け、6月30日まで塾生を募集中とうかがっていますが、その運営を県から受託した『奈良元気もんプロジェクト推進会議』の構成についてお聞かせいただけますか。
 『奈良元気もんプロジェクト推進会議』は奈良県内のイベントに深く関わっているメンバーで構成されたNPOです。例えば近年夏の風物詩として注目されている『なら燈花会』や『バサラ祭り』、桜井市で毎年開催されている『万葉まつり』などを立ち上げ、企画運営している人たちが賛同してくれました。
 『奈良2010年塾』は奈良県の事業ですよね。2010年に開催される、平城遷都1300年の記念事業で活躍できる人材を育てる事業と考えてよろしいのでしょうか。
 結果的に目指すものはそうかもしれませんが、その後にもつながる人材を生みだすことだと考えています。2010年が過ぎれば「はい終わり」ではありません。その後の、これからの奈良県を担う、支える人材を発掘、育てることが大きな目的だと思います。住民の発想と心意気で県内のイベントを企画サポートする『文化ボランティア』を育成していきます。
 『千年つづく、夢を見ようや。』
 従来から感じていることなのですが、事業開催にあたり、目的を達成すれば「はい終わり」ということが多いように思います。事業というものは、その事業が終わってもその後に「あの時にああいう素晴らしい事業があって、今もその時の功績がこういうふうに繋がってきている」というような実績が必要だと思うのです。この奈良でなら、500年後、1000年後にも名前を残すような事業があっても良いのではないかとも思うのですが。
 本当にそう思います。伝統行事の多い奈良において、最近生まれたイベントや祭りを担う人たちはみんな、その事業を自分たちの時代だけ楽しくやっていれば良いと思っていません。自分たちが生み出したものが50年、100年と続いていけば良い、続いていってほしいと願っているのです。それは単なる自己満足のためではありません。愛する街やそこに住む人たちがいつも活気に満ちて、自分の街が素晴らしい、楽しいと感じてくれるような環境づくりでもあるのです。
 街の活気は誰もが求め、きちんと考えていかなければいけないことだと思います。そのためにも人づくりが大切ということですね。
 はい。この塾も1年間(実際の入塾期間は7月から翌年3月までですが)学んで「はい終わりました」ではなく、次の後輩たちの育成にも携わってもらえるほどの人材づくりを視野に入れています。事業を50年、100年続けていくためには、次の時代へ、次の時代へと、それを支える人材づくりが必要なのです。
 そういう意味も込めて、『千年つづく、夢を見ようや。』というキャッチコピーが使われているのですね。
 実践・現場第一主義
 講座スケジュールを見せて頂きますと、基礎講座としての講義以外に、奈良公園や祭り会場に場所を移しての実際のイベント実習なども専門講座として組まれていますね。
 はい。卒塾の折には実習として、企画から制作、本番までを経験できるよう、実際にイベントも企画運営してもらいます。
 イベントを創って開催までするのですか。それは凄いことです。
 どんなことでも、実践、現場を経験してこそ、解ることも多いですよね。イベントの企画運営も同じです。自分たちで創ってこそ学んだことが理解できるのだと思います。
 『経験』することが『力』となるものですよね。乾さんは(社)日本青年会議所近畿地区協議会会長のご経験があるとうかがっていますが、他の県の方たちから、奈良の印象を聞かれたことがありますか。
 ありますね。良い意味で誰もが知っている土地でした。しかしよく聞いた言葉は「あっ、奈良知ってるよ。修学旅行で行った」だったのです。実際その中に、修学旅行以降、奈良を訪れた人はほとんどいませんでした。
 やはりそうですか。そういう方は多いですね。
 観光県でありながら、何度も足を踏み入れてもらう確率が少ないというのが、とてもさみしいことです。そういう私も、大学卒業後は大阪で働き、数年後に奈良に帰ってきて、初めて奈良を見つめ、まちづくりを意識した人間なのです(笑)。
 でも、そういう県外からの印象を実際に聞いて、郷土のことを振り返り、考えて、行動を起こしている。まさに実践されてきた人。これからも次の世代への継承とともに、新しい素敵な企画をしてくださることを楽しみにしています。
 たくさんの仲間たちとともにこれからもがんばっていきます。
現在だけではなく、これからの、未来の奈良を見据えて、それを担っていく人材づくり。乾さんたちの実践はこれからも続きます。

Vol.34へ
人物じゅずつなぎindex

Vol.36へ