VOL.31

バサラ祭り実行委員会 実行委員長
魚谷 和良(うおたに かずよし)さん
町衆の力で完成した奈良の祭り
 1999年8月、奈良に新しい祭り『バサラ祭り』が誕生した。
 みんながキラキラと輝く祭りとして、そして市民参加型のエネルギーに満ちた祭りとして注目の『バサラ祭り』。街の中をダンシングパフォーマンスしながら歩くこの祭りを、企画運営する実行委員会の委員長として個性豊かな実行委員メンバーを束ねる魚谷和良さんにお話をうかがった。

〈聞き手〉編集長 上田さとる


 町衆発信!企画運営
どんなイベントでも、それを創ろう、開催しようと思うきっかけが必ずあると思いますが、やはりその始まりからお聞きしたいと思います。
魚谷 以前に各種青年団体や行政と一緒になって開催していたイベントがありましたが、回を重ねるうちに、規制がいろいろと出てきたのです。企画運営している者たちの、立場的なものや、利害関係、主張が交差して、はっきり言って、「また参加したい」と思えるおもしろいモノではなくなってきたのです。団体や行政主導のイベント開催には良いものと、良くないものがあると改めて感じましたね。そんな時に高知の『よさこい祭り』を目の当たりにしたのです。街に溢れるエネルギーを受け、「これは凄い!ぜひこんな祭りをやりたい!」と思ったのがきかっけです。
ではバサラ祭りの立ち上げは各種団体や行政が一切関わらずに行われたのですか。
魚谷 まったくの町衆で始めました。もちろん、実行委員会のメンバーの中には、各種団体や行政に所属している人たちもいますが、バサラ祭り実行委員会に関しては個人という形での参加でした。そのへんにはみんながこだわっていましてね。
 実はその道のプロ集団
しかし、スムーズに行かない事が多かったのではないでしょうか。
魚谷 許認可やら、運営費やら、問題は山積みでした。それと同時に祭り自体の組立もありましたからね。だけど、うちの実行委員会のメンバーは、『この指止まれ』で集まった人たちなのですよ。「他の祭りとは違ったオリジナルのうたを創ろう」、それなら詞を作れる人、曲を作れる人、うたを歌える人、「正調の踊りがほしいなぁ」、それなら踊れる人、「みんなにスポットライトをあびてもらって踊ってもらいたいな」、それなら舞台関係の人…という感じで、メンバーのネットワークの中から参加を促したのが、実はその道のプロばかりだったという感じです(笑)。
その道のプロたちが、ボランティアで街の祭りを創っていったわけですね。
魚谷 肩書き関係なしに、仕事ではなく、結局、祭りのコンセプトでもある、バサラな奴らの集団が実行委員会となり祭りを創ったのです。
ではこの祭りでのバサラとは。
魚谷 バサラの語源はダイヤモンド、磨いて輝く石。鎌倉・室町時代に粋で、人とは違った魅力を持ち、歌舞伎ファッションにも影響を与えることになる『婆沙羅大名』や薬師如来の周りを取り巻く十二神将のひとり『伐折羅大将』にも、いろんな意味でこだわり、調べもしましたね。
磨けば磨くほど魅力を増すダイヤモンドですね。キラキラと輝いて人々を魅了する。踊り手もですが、実行委員会のメンバーもダイヤモンドのひとつなのですね。
魚谷 楽しむところは、一生懸命に楽しむ。日常の街を舞台に、非日常の祭りを楽しむのです。バサラな奴らとはそんな人たちのことです。
 進化し続ける祭り
バサラ祭りは、今までの奈良で行われてきた祭りとは良い意味で異質だと思いますが、地元の方たちの反応はいかがでしたか。
魚谷 正直、賛否両論です。今までのお祭りは、特に奈良市内では、寺社を中心に守られてきた伝統行事が多く、バサラ祭りのように参加型の賑やかなものがありませんでした。ですから商店街を大きな音楽を鳴らしながら、派手な衣装を身につけた人たちが踊り歩くこのお祭り当日は「うるさいなぁ」と顔をしかめる人もありました。「奈良らしくない」という人もいます。でも反対に「こんな面白い、楽しい祭りが奈良に出来てよかった」「1年に1度くらい、奈良らしくない日があるほうが良い。刺激があって楽しい」「あんまり好きな街じゃなかったけれど、バサラ祭りが毎年の楽しみになった」という人たちも出てきたのです。
 自分の街を愛するからこそ
それは単純に郷土愛ではないですか?自分の愛する街や人が、もっと楽しく、元気になればいい、そんな気持ちでしょう。誰のためかと言えば、それは街のためですよ。
魚谷 そうですね。実際、祭りを開催するにあたり、実行委員会のみんなの負担は時間的にも、精神的にも多大な労力を要しています。例えば、私自身も家業のかまぼこ屋が会場ともなる商店街内にあり、良きにつけ悪きにつけ、店や家族に影響を与えています。だけど、祭りは必要なのです。
奈良市内でも由緒ある、餅飯殿(もちいどの)商店街に本店を置くかまぼこ屋さんの4代目ですよね。伝統を知っているからこそ、身にしみているからこそ、今までとは違う、血の騒ぐような祭りも必要と感じたのではないでしょうか。
魚谷 そうかもしれません。学生時代に、祭り参加と引き換えに単位を棒に振った、岸和田の友人がいました。その時は理解できなかったその友人が言った「オレが行かな、祭りが始まらへんねん」の言葉、今は解ります。うちの実行委員会のメンバーはみんな、そう思っていますよ(笑)。
今年も夏の最後はバサラ祭りで締めくくりですね。期待しています。
今年のバサラ祭りは8月30日(土)・31日(日)、両日共14時位〜20時位開催。30日は近鉄奈良駅周辺商店街と近鉄西大寺駅南側、31日はJR奈良駅前三条通りと県庁前奈良公園内〈興福寺北側〉メインステージで。当日踊り隊あり(参加料オリジナルTシャツ付2000円)。また飛び入り踊り隊もあり(無料)。
詳しくはTEL.090・4038・9953 バサラ祭り実行委員会まで。

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