VOL.28

明日香楽舎 代表
溝端 教桂 さん
雅楽をもっと身近で
聴いてほしい!

 僧侶ばかりのメンバーで雅楽グループを結成!活動をしている方がいらっしゃると聞い て大和郡山市内にある浄土宗来迎寺のご住職、溝端教桂さんを訪ねた。福祉施設や、 公民館等でのミニコンサートを繰り広げながら、たくさんの人々に雅楽を身近に感じてもら いたいと願い活動の場を広げていっているという。

〈聞き手〉編集長 上田さとる


   
最古の音楽!雅楽
雅楽の歴史について教えていただけますか。
溝端 雅楽は飛鳥時代の仏教伝来とともに外来した音楽です。譜面を用いるものとしては 最古の音楽でしょう。
現存する合奏音楽では世界最古と聞いたことがあります。
溝端 音楽的にも歴史的価値が高く評価されていますが、実際どれだけの人が 正しい雅楽を知っているのでしょうか…。 
正直、私もこうやって間近で聴くことは今までありませんでした。 とても迫力のある音色ですね。
溝端 はい。CDの音色とはまったく違うと思います。だからこそ私は本物の音色を たくさんの人に聴いてもらいたいと日々思っているのです。 
口伝による守られてきた文化
溝端さんは僧侶の仲間たちと『明日香楽舎』という雅楽のグループをつくって各所で 演奏会をされていますね。反響はいかがですか。
溝端 みなさん、本物の音色をはじめて聴いたと感動してくださいます。演奏会後に近く に寄って来られて、楽器を見せてくれ、習ってみたいなど、興味を持ってくださいます。 ただ、雅楽の楽器は高価で、ピアノのように普及率も高くないので販売しているところが 限られ、しかも教える人がいないというのが現状です。もともと口伝により守られてきた 文化、技術、演奏法ですから…。
伝統というものがそういうところで壁となっているのですね。最近、インターネット などでも雅楽の各ホームページに、興味をもった人たちからの問合せの書き込みが多くなってきています。 そのほとんどがどこで習ったらいいのか?楽器はいくら位なのかというものです。
溝端 そうですか。興味を持ってくれる人が増えているということはうれしいです。学校教育でも 琴や三味線とともに雅楽が登場するのですが、本当のところ雅楽に関しては楽器を用意できる学校は少ない と思います。指導できる人もほとんどいないでしょう。雅楽に触れてもらえるせっかくのチャンスなのですが、 たくさんの子どもたちに継承されることは実際難しいでしょうね。
譜面はどのようなものですか。
溝端 (見せながら)これが笙(しょう)の譜面です(右写真参照)。音の順番を書いているだけで、強弱や長短などが 表されていないのです。
その細かい部分が口伝になるのですね。師匠につき、先輩の音を聴いて、学ぶ、技をぬすむ、 そんな世界なのですね。『明日香楽舎』のメンバーは何人ですか。
 現代楽器とのコラボレーションも
溝端 7人です。ヨーロッパ公演を4度も経験している者もいれば、私の息子のように大学 を出たばかりの若い者もいます。
息子さんもご一緒にご活躍ですか。頼もしいですね。溝端さんは主にどの楽器を担当 されているのですか。
溝端 笙です。竹管17本を頭と呼ばれる檜や桜で作った椀型に、水牛の角で作った蓋を し、差し込んだ構造のもので、直径3mmほどの穴が15管にあけられていて、 その穴を指で押さえて音を出すのです。
近くで見せていただいて、初めてその穴を見つけることができました。
溝端 そうでしょう。よく言われます。細かい指の動きしかしないので、旋律などなしに 単純に吹いているだけのようだと(笑)。
他にどのような楽器があるのですか。
溝端 篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)や高麗笛(こまぶえ)などの横笛(おうてき)、太鼓、鉦鼓(しょうこ)、鞨鼓(かっこ)、琴や琵琶が入る場合もありますね。 私が演出するとシンセサイザーやドラムなどの現代楽器をコラボレーションする場合もあります。
また違った魅力の雅楽になるのではないですか。溝端さんが雅楽をはじめられたのは いつ頃からですか。
 息を合わせるということは…
溝端 15年くらい前からですね。外に出て演奏をはじめたきっかけは、母親が骨折して入院していた施設に 見舞いに行った時、休憩ホールで、CDでしたが雅楽が流れていたのです。生演奏だったらもっといいのになぁ、と 思いましてね…それからですね。身近に感じてもらえるよう、いろんな活動をしなくてはと思い行動を起こすことに…。 要請があればどんどん出かけていきますよ
芸術は、自分が好きで、そのために惜しまず時間を割かないと続けていけないですよね。 好きだからこそいろんな人にも知ってほしいという気持ちが働くのだと思います。
溝端 単純に私は聴いてもらって喜んでいます。息子たちも観客に育ててもらっているのです。 舞台の数を多く踏んで成長していくものですよね。どんなことでもそうですが、他人を喜ばして自分も喜ぶんです。 雅楽はそのものですよ。オーケストラのようにコンダクターがいないので、自分でまわりの音を聴いて自分の音を 出すのです。それが息を合わすということです。日常の生活でも、教育の場であっても他人の話に耳を傾けるということ が大切ですよね。そういうことです。
1月25日(土)生駒郡平群町椿台にある椿台自治会館で
「喫茶サロン・ド・つばき」(主催は椿台のボランティアグループ ビビット)
が開催され、14時から明日香楽舎の演奏会があります。
問い合せはTEL.090‐3353‐8753
溝端まで。

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