VOL.8

(株)三輪そうめん山本
代表取締役社長 山本 太治さん
“ギフト”
というものは…

 神々がおわす三輪山の北西、卑弥呼の墓ともいわれている箸墓の緑を借景に建つ寄せ棟造りの建物が、(株)三輪そうめん山本の本社社屋。280年余りの伝統を持つこの会社の社長 山本 太治さんにお話をうかがった。

〈聞き手〉編集長 上田さとる


 老舗の『のれん』を守る厳しさ
享保2年(1717年)の創業と聞きました、山本さんで何代目ですか?
山本 8代目になります。社長に就任して6年目です。
老舗の『のれん』を守る厳しさがあると思いますが、『のれん』の重圧を感じたことはありませんか?
山本 もうすでに出来上がっている『のれん』があるから楽じゃないかという方もいますが、維持することのしんどさ、守るしんどさは、いつの時代もあると思います。先代までの良きものを残しながら、今の時代にあったモノをプラスしていかなければいけないのです。例えば昔なら一汁一菜だった食事内容も、今は一汁五菜位 になっているおり、食生活の変化は著しいものです。そうなれば、一汁一菜の時代と同じくらい売れるように、一汁五菜の現在も努力しなければならないのです。味、品質の問題もあります。環境の変化も影響してきます。
“ギフト”の精神
同じ味を守る大変さとともに、いつも時代のニーズにあった商品の提供が必要ということですね。
山本 そうです。“そうめん”を使った料理なども、ずっと以前から提案してきています。よく機内食で“茶そば”が出されるでしょう、あの商品提案も約20年前に私どもが行いました。今も機内食で出されている“茶そば”は山本の製品です。
全国販売シェアでは軍を抜くと聞いていますが、理由は何だとお考えですか?
山本 もちろん品質もでしょうが、サービス業としての精神を心がけている社風も認められているということでしょうか。私どもの社員は全員、販売を経験し、お客様とのコミュニケーションと”ギフト“の精神を大切にしています。
“ギフト”の精神ですか?
山本 もともと贈答というものは、「これはあの人にも食べてほしい」「これはぜひ贈りたい」の気持ちから広がってきたもの。その精神はサービスにも大切なものだと思います。その昔、“そうめん”は貴重な品物でしたから誰からも喜ばれるモノで、暑気ばらいなどの贈り物に使われていたのです。そう、ギフトのルーツをたどれば“そうめん”に行き着くと思います。もちろん、よくご存じだと思いますが、“そうめん”の発祥の地はここ三輪です。
 次世代への『食文化』
そうめんの研究施設があるとうかがいましたが…。
山本 関西文化学術研究都市のならやま研究パークに『麺ゆう館』という研究施設があります。この施設は「麺にふれ、麺に親しむ」ことをテーマとして、麺類を中心とした食文化の研究の他に、“そうめん”手延べ体験やクッキングパーティーなども開催、一般 の方にも情報発信の拠点として利用していただいています。
これからも“そうめん”を通して次世代の「食文化」創造に広く貢献していただくことを期待しています。

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