![]() |
VOL.6 | |
|
洋画家 森長 武雄さん 〈聞き手〉編集長 上田さとる |
||
| テーマは「ふるさとの詩」 | ![]() |
| 「森長さんの作品の中に牛が出てくる作品が多くありますが、何か意味がおありなのですか?」 | |
| 森長「牛はふるさとの象徴です。故郷を離れてもう随分になりますが、今もふるさとの印象が強く残っており、すぐに描くことができます。ふるさとの“あったかみ”や“こころ”を残すような作品を描いていきたいといつも思っています」。 | |
| 「故郷はどちらですか」。 |
| 森長「生まれも育ちも徳島です。徳島大学で美術科を専攻して、地元中学校の教師になったんです。縁あって大阪の中学校に配属になりましたが、『絵』の方の活動はずっと活発にやっていました。結局、30年間務めた教師を辞め、『絵』の世界で自分自身を表現し生きていくことにしたのが55歳の時です」。 |
| 「中学校に在職中、両立することに問題はありませんでしたか」。 |
| 森長「小さい頃から『絵』を描くことが好きで、自分には『絵』しかないと思っていましたから、仕事とは別 の感覚でしたね。それに昭和48年から斑鳩町に住むようになってからは、家が学校から離れていることもあって、時間的にわりきった切り替えができました。もし、学校の地元に住まいがあったなら生徒たちからの相談事などで毎晩忙しかったかもしれませんね」。 |
![]() |
『絵』とは自分自身 |
| 「作品を創る、描く活動の時間は斑鳩にあったんですね」。 | |
| 森長「はい、いろんな経験が作品になっています。『絵とはなんぞや』と聞かれたら、『自分自身』と応えますね。学んだこと、身についたこと、環境の中で養われた人間性、その全部を含んで美しく感じさせるのが『絵』だ、本当の美だと思います。敦煌の壁画がなぜ美しいと言われるかわかりますか?あれは約1000年前の壁に描かれたものだからです。剥落した壁の中にあるバランスが美しい。その時代の背景が現代人には美しい。また、美しくないモノを美しく描くのも『絵』です」。 | |
| 「美しくないモノを美しくですか?」 | |
| 森長「はい、ボロ靴も描けば美しい芸術になる。『絵』は美しいモノを美しく描くだけではだめです。私はいつも指導するときに“山を描く時には山の向こうを描け”と言っています。 |
| 下手はNo.1になれる! |
| 「向こうとは心、中身ですね。自分自身が培ってきたモノ」。 |
| 森長「そうです。『絵』は中身です。描く事を伝えていく基本として“誰もがすべて一流になれる”ということをよく話します。下手やからと言われる方がいますが、下手ということはありません。不器用は、その不器用な表現が特徴なのです。下手だからこそNo.1になれるのです。自分の個性を全面 に出して、人に対するあったかみをたえず持ち続けることができたなら『絵』が『作品』になります」。 |
| 「規制概念で評価をしてはいけないということですね。上手下手は心の評価で決まるということですね。生活して行く中、規制概念ですべて判断することが多いと思います。文化だけでなく、教育も福祉も人権においても自然にそうなってしまっていることがある。森長さんの『絵』のあったかさをあらためて感じました。ありがとうございました」。 |
| 人物じゅずつなぎindex |